心筋梗塞を引き起こす要因のひとつとして「肥満」が挙げられます。このページでは、肥満の原因と予防、心筋梗塞との関係性についてまとめています。
肥満とは、体脂肪が過剰に溜まっている状態のことです。単に見た目が太っているだけでは、肥満とは呼びません。
肥満になると、全身に酸素やエネルギーを届けるために多くの血液が必要となるため、負荷に耐えられるよう、心臓が肥大化します。しかし、血管は大きくならないので、一度に送り出す血液の量を増やさなくてはならなくなります。この状態が、高血圧を招きます。高血圧が動脈硬化を進行させ、最終的に心筋梗塞などの大病を引き起こしてしまうことは、良く知られています。
また最も気になるのは、冠動脈疾患です。冠動脈という血管には、心臓に酸素や血液を送るという、重要な働きがあります。肥満体型の人の血液には、悪玉コレステロールや中性脂肪が過剰に存在している可能性が高く、冠動脈を含む血管を、徐々に硬化させていきます。
また内臓脂肪型肥満が動脈硬化を発症させる理由のひとつとして、脂肪細胞から分泌される「アディポサイトカイン」という物質に注目しなければなりません。こちらは体内の脂肪細胞が適量だと正常に分泌され、糖尿病や動脈硬化を防いでくれます。しかし内臓脂肪が蓄積されると分泌が低下してしまうのです。
肥大した心臓に対し、ただでさえ細い冠動脈がさらに詰まってしまう…と、想像しただけでも怖いですね。これらの悪循環が、心筋梗塞など生命を脅かす大病を引き起こしてしまうのです。
ではどの程度太ると、肥満体型ということになるのでしょうか?その目安に役立つのはBMI(体格指数)です。身長160cm、体重60Kgの人が指数を計算する場合は、60÷(1.6×1.6)とします。
【BMIが示す肥満の定義】
計算後、高度肥満という結果が出た人は、病院での早めの診療を検討すべきです。
肥満の原因は、暴飲暴食によるカロリーオーバーです。
動物性タンパク質やスイーツ、アルコール類などを大量に摂取した場合、一度の食事によって摂取するカロリーが消費カロリーよりも上回ります。上回ったカロリーは脂肪へと変換し体内に蓄積されます。消費しきらないまま再度カロリーを摂取すると、どんどん体内に溜まっていき、肥満になるのです。
基礎代謝とは、生命活動を維持する活動時に消費されるエネルギーのこと。人が何か運動をしなくても、呼吸をしたり心臓を動かしたりすることもエネルギーを費やします。
基礎代謝が低下すると、消費エネルギーが少なくなり、カロリーをあまり必要としなくなります。そうなると、普段の食生活のままでは、必要以上のカロリーがどんどん蓄積されるのです。
ホルモンバランスの乱れによって、肥満になってしまうことがあります。
現在では、ストレス・不規則な生活・睡眠不足といった、ホルモンバランスの乱れが原因と考えられています。
ホルモンバランスが乱れると、代謝能力を著しく下げ、消費できるカロリー量が減ってしまうことも。消費できないカロリーは、体に脂肪として溜まってしまい、肥満になるのです。ホルモンバランスによる影響は、肌の調子にも影響します。
肥満になると、良いことは1つもありません。高脂血症・高血圧・糖尿病のリスクを高め、動脈硬化を進行させます。それによって、心筋梗塞をはじめとする血管病を引き起こしやすくなるのです。
特に、腹部に内臓脂肪が溜まるリンゴ型の肥満が危険とされています。肥満は心筋梗塞だけでなく骨や関節への負担が大きくなり、腰痛や膝痛などの関節障害を起こす可能性も。
普段の食生活を改善して、日ごろの運動不足を解消し、合併症を予防しましょう。
肥満を予防するには、暴飲暴食・基礎代謝の低下・ホルモンバランスの乱れを改善しましょう。
暴飲暴食をしないためには、自己管理を徹底しなければなりません。食事の時間と食べる量を決めましょう。
基礎代謝を上げるためには、体温を上げたり、ストレッチをして筋肉を柔らかくすることがおすすめ。基礎代謝を上げるのに、過酷なトレーニングは必要ありません。まずは、バランスのよい食事を摂ることが大切です。
ホルモンバランスの乱れを改善するためには、生活リズムを正し、十分な睡眠を取り、ストレスをためないことです。早寝早起きを心がけ、休日にお出かけなどをしてリフレッシュしましょう。