摂りたい食材(1)魚類

青魚などの魚類に豊富に含まれているEPAやDHAは、心筋梗塞や脳梗塞などの予防に効果があります。ここでは、これらの成分の特徴や摂取方法、おすすめレシピ、摂取の目安などを詳しく紹介します。

青魚に豊富に含まれるEPAの健康効果

西欧の研究結果で、魚を週に1~2回(1日30~60g)食べると、心筋梗塞や脳梗塞のリスクが減少すると報告されました。

2006年に、日本人男女約4万人を対象に行った研究結果でも、魚を1日平均23g摂取している人と、180g摂取している人とでは、180g摂取している人の方が、心筋梗塞のリスクが53%も低いことがわかっています。

では、なぜ魚を多く食べることで、心筋梗塞のリスクがこれほど下がるのでしょうか。

その答えは、青魚にあります。はまちマグロなどの青魚には、生活習慣病を予防するためのEPADHAが、豊富に含まれているのです。

青魚に共通して多く含まれるEPAとDHAは、血液中の中性脂肪値やコレステロールを低下させ、血液の流れをよくし、動脈硬化の予防に役立ちます。

【注目成分(1)】免疫力を高め、血液に作用するEPA

EPA(エイコサペンタエン酸)は、小腸から吸収され、肝臓の細胞に吸収された後に、脂質の生成や分泌をコントロールし、血液中の中性脂肪を分解・促進するといわれています。

このことから、高脂血症の治療でもEPAとDHAを濃縮した薬が処方されており、高い効果をあげています。

他にもEPAには、炎症抑制効果や、免疫力を高める働きも。白血球の活性に関わる因子の働きを抑え、病気の発症を抑える効果や、病気そのものを改善する効果が期待されています。

また、炎症やアレルギーの原因である「プロスタグランジン」という物質を減少させる効果もあります。花粉症やアトピー性皮膚炎のような、アレルギー症状の緩和にも役立つとされています。

血管の異常収縮を抑制する効果も

EPAには、心筋梗塞や狭心症の原因のひとつである「血管の異常収縮(血管攣縮)」を抑制する効果もあることが、明らかになっています。

動脈硬化や血栓などの血行障害については、生活習慣からくるものとわかっていたのですが、異常収縮については、原因が不明で治療法もありませんでした。

そんな中、山口大学医学部小林誠教授チームの研究により、魚類に含まれるEPAが血管の異常収縮を抑制させ、さらに摂取後の副作用もないことが発見されました。ただしEPAならどれでも抑制作用を発揮するわけではないこともわかってきました。

魚類から摂れるEPAは生の状態だと、エネルギーも強い流動性のある立体構造で存在しており、血管の異常収縮に高い抑制効果を発揮します。しかし、調理などで加熱してしまうと立体構造が崩れ、効果も弱くなってしまいます。

小林教授は、このEPAの立体構造を崩さずに抽出したEPAに着目、食品としての開発に長い年月をかけて、ついに生魚を食べるのと同じ状態で摂取できるEPAサプリの開発に成功。食品組成物としての特許も取得し、生活習慣病予防などさまざまな方面で注目を集めています。

小林式EPAの効果とメカニズムについてはこちらをチェック!>>

寝ている間に起こる血管の異常収縮が命取りに!?

労作性狭心症は階段の昇り降りなど運動の影響を受けた結果起こるものですが、安静時狭心症(就寝中などに起こる狭心症)の6割近くは血管の異常収縮である血管攣縮が原因であるといわれています。安静時に起こる冠攣縮性の発作は突然死にもつながりやすいことがわかっていますので、狭心症を発症したことがある人や、動悸息切れを感じる人、さらに心筋梗塞の前兆として片頭痛なども挙げられますので、こうした予兆のある人は予防や再発予防を心がける必要があります。

【注目成分(2)】動脈硬化や認知症予防に効果があるDHA

DHA(ドコサヘキサエン酸)は、神経細胞の細胞膜を柔らかくする働きがあります。またコレステロール値の上昇を抑え、中性脂肪を減らす効果があるため、動脈硬化の予防に役立っています。

この他、DHAには脳を活性化する働きもあります。また、学習機能の向上や、老人性認知症の予防としても評価されています。DHAは脳を構成する約140億個の脳細胞膜に存在していて、その中でも記憶力や学習能力と関係する海馬には、2倍以上存在しているのだそう。

そのため、DHAは脳の栄養素であり、海馬にあるDHAの量が、頭のよさに関係しているといわれています。

青魚のおすすめレシピ~効率よくEPAとDHAを摂取するために~

普段食べる食事に、簡単お魚レシピを取り入れ、EPAとDHAを効率よく摂取しましょう!

ここでは、特に心筋梗塞の抑制効果が高い、青魚のおすすめレシピを紹介します。

ハマチ

ハマチは、カルパッチョやマリネにしても美味しくいただけます。ちょっと物足りないなと思ったら、しょうゆ・酒・みりんを合わせた調味料に漬け込むと、おいしく食べられますよ。

また、納豆パックと刺身用ハマチを混ぜて、しょうゆ、砂糖、ネギ細切りなどを混ぜ合わせた、タレをつけて食べるのも美味しいです。

マグロ

マグロの刺身を使用したネギトロ丼や、トロを細かく叩きにして、ネギトロ団子汁などにすると美味しくいただけます。溶け出したEPAも汁物にすることで、しっかり摂取できます。

また、マグロステーキもおすすめです。溶け出した脂をソースとして使用し、合わせて摂取するように心がけてください。

サバ

新鮮な刺身用のサバは、漬け丼で楽しみましょう。

他にも、サバの味噌缶を小口切りしたキュウリと、一口大に切ったキャベツを、塩もみしたものと混ぜ合わせ、おろし生姜と、黒コショウでいただく調理法もおすすめです。

1日に魚類から摂りたいEPAとDHAはどのくらい?

心筋梗塞や脳梗塞を抑制するためには、魚類から1日どのくらい、EPAとDHAを摂取しなければいけないのでしょうか?

厚生労働省のデータによると「魚類からEPAとDHAを1000mg/日以上(最新データでは2,000mg)摂取することが望ましい」とされています。ただし、摂取する際には、EPAが熱に弱い点に注意してください。したがって、魚類に含まれるEPAを効果的に摂取するなら、寿司や刺身など、非加熱で鮮度のよい状態で食べるように意識しましょう。

【生で摂取した際のEPAとDHAの含有量】

魚名 EPA DHA
ハマチ 980mg 1,700mg
マグロ(トロ) 1,300mg 2,700mg
サバ(タイセイヨウサバ) 1,600mg 2,300mg

上記のデータは、食べられる部分100gに対する含有量で、文部科学省「五訂増補日本食品標準成分表脂肪酸成分表編」から引用しています。

例えば、刺身の重さは約30gあるので、4~5切れ食べるといいでしょう。焼き魚や煮物にすると約20%のEPAとDHAが溶け出してしまうので、煮汁などと一緒に、少し多めに食べるようにすると、効果的に摂取できます。

摂取する際の注意点

いくら魚類に多く含まれるEPAとDHAが、体に安全な成分とは言っても、過剰摂取しないように注意が必要です。

EPA先進国である米国では、EPAを1日3,000mg以上過剰に摂取しても問題ないと公表していますが、まれに副作用として、出血が止まらないなどの症状が起きることがあります。またEPAには血圧を下げる作用があるともいわれていますので、降圧剤などの薬をのんでいる人は、必要以上に血圧が下がりすぎる可能性もありますので、医師への確認をすべきでしょう。

EPAやDHAはほかの栄養素同様食品からの摂取が理想であることに変わりはありませんが、サプリメントで補うことで心筋梗塞や狭心症の予防や再発防止に役立つ可能性も示唆されていますので、検討の価値はあると思われます。