心筋梗塞の再発からの死亡率

心筋梗塞を再発した際には、初期発症時よりも死亡率が高くなるようなことはあるのでしょうか?

幸運にも心筋梗塞から一命を取り留めたとしても、心筋梗塞が発症しやすい状態にある事には変わりありません。このページでは、心筋梗塞の再発からの死亡率に関して考えてみましょう。

心筋梗塞の再発率は?

心筋梗塞の再発率は、心筋梗塞を過去に発症していない人と比べて4倍とも6倍と、はたまた10倍も言われています。

日本人においても心筋梗塞患者の再梗塞率は,既往のない場合に比べて10倍以上になることが報告されている2).心筋梗塞患者の診察時は,非常に予後不良な患者群であることを改めて認識して加療にあたる必要がある.再発予防には,動脈硬化の背景となる危険因子全てにわたる多角的アプローチによる患者管理が必要とされ,いろいろな疾患のガイドラインの知識が必要となる

出典: (PDF) 『心筋梗塞の二次予防戦略』岡山医学会雑誌、2011 [PDF]

心筋梗塞の再発率は、急性期に行った治療法によっても少しずつ異なります。例えばバルーンカテーテル治療を行った場合の再発率は30〜40%。ステントカテーテルによる治療を行った場合の再発率は20%程度。バイパス手術を行った場合の再発率は3%以下と言われています。どの治療法が選べるかは、患者さんの年齢や全身状態などによっても異なります。

30%程度の再狭窄が発生するという点がカテーテル治療のアキレス腱でした。最近、これを避けるためステントに薬液を染み込ませた新しいステント<図8>ができました(薬物溶出性ステントという名前です)。

新しいステントで治療した場合の再狭窄率は数%と見込まれていますので、これまでの通常のステントで治療した場合の半分以下となっています。まだ開発されてからの期間が短く、長期間にわたる評価については、完全にわかっているわけではありませんが、これまで再狭窄の問題で苦しんでいた患者さんには朗報となるでしょう。

出典: 国立循環器病研究センター|循環器病情報サービス「[44] カテーテル治療の実際」

心筋梗塞が再発して死亡へ至る確率は?

急性心筋梗塞は、発症から1時間以内で命を落とす確率が最も高く、発症1時間位なの死亡率は約4割となっています。

そもそも心筋梗塞は動脈硬化が生じて、血管に血栓ができることが原因です。急性期に一命を取り留めたとしても、再発しやすい状況であることは変わらず、治療や生活習慣の改善をしなければ、再発し命を落とす確率はより高くなってしまいます。心筋梗塞患者の予後を調べた研究は幾つかありますが、有名なのがフラミンガム・ハート・スタディと呼ばれる疫学調査です。

同調査では、動脈硬化由来のアテローム血栓症を発症した患者は、急性心筋梗塞の方の場合9年も短くなることが報告されています。

有名な疫学調査である FramingamHeart Study では,一度動脈硬化由来のアテローム血栓症を発症すると平均寿命が7~12年,急性心筋梗塞患者では9年も短縮することが報告されている1)

出典: (PDF) 『心筋梗塞の二次予防戦略』岡山医学会雑誌、2011 [PDF]

心筋梗塞の死亡率と年齢の関係

心筋梗塞による死亡率は、一般的に年齢が上がれば上がるほど上昇します。さらに、過去に心筋梗塞を発症したことがある方が心筋梗塞を再発した場合には、さらにその死亡率は高くなるという報告もあります。

日本心臓財団が公式ウェブサイト上で紹介している急性心筋梗塞の年齢階級別死亡率(元データは、厚生労働省「国民衛生の動向2002年」)を見てみると、死亡率は高齢になるほど高くなる傾向にあり、女性よりも男性の方が死亡率が高くなっています。例えば、人口10万人当たりの急性心筋梗塞死亡率は、65〜69歳で男性が92.2人、女性が33.2人。75〜79歳では男性が234.7人、女性が131.9人。80歳〜84歳では男性が386.2人、女性が260.7人となっています。

心筋梗塞の再発から死亡へつながりやすい人の傾向

心筋梗塞を発症し、幸運にも一命を取り留めたとしても、心筋梗塞を起こしやすい状態に体がなっていることには変わりありません。

ここまで見てきたように、心筋梗塞を再発してからの死亡率は決して低いとは言えません。そのため、心筋梗塞をいかに再発しないか、そして重症化させないかが重要となります。

心筋梗塞の再発をしやすい人にはいろいろありますが、一説によれば喫煙習慣のある方は再発リスクが高いことがわかっています。

また、日本循環器学会総会で発表された大阪大学の研究者らが行った大規模追跡調査によれば脳卒中よりも心筋梗塞の方が発症しやすく、リスクを分析するとメタボや肥満などもリスクを高める要因となっています。

脳卒中患者や心筋梗塞患者では他臓器の血管障害よりも同じ臓器の血管障害を繰り返す傾向があるが、脳卒中患者では脳卒中の再発が圧倒的に多いのに対し、心筋梗塞患者では心筋梗塞の再発と脳卒中の発症が拮抗しており、日本人の血管障害の傾向が反映されている

 

〜中略〜

肥満を含む3つ以上の危険因子を有する症例は脳卒中患者より心筋梗塞患者で多く,危険因子の平均保有数も心筋梗塞患者で脳卒中患者より多かったことから,メタボリックシンドロームやマルチ プルリスクファクター症候群は脳卒中より心筋梗塞にインパクトが強いことが示唆される.

出典: (PDF) 『脳血管疾患・心疾患に伴う血管イベント発症に関する全国実態調査(J-TRACE)』脳卒中、2006,28(4) [PDF]

タバコを吸う方は禁煙をするのは絶対ですし、血管年齢を若く保つために、肥満やメタボ、糖尿病予防や症状悪化予防などにも積極的に取り組みましょう。