心筋梗塞の再発を予防するには?

心筋梗塞の再発を予防するには

日本の三大死因の1つである狭心症や心筋梗塞。再発の予防には、狭心症や心筋梗塞そのものの予防で気をつけたいポイントと同じことが挙げられます。
例えば動脈硬化を引き起こしやすくなる喫煙は心筋梗塞再発予防をしたいなら厳禁。加えて、食事や適度な運動、ストレスを避けることなどが挙げられます。また、高血圧や高脂血症の治療は、再発リスクを低減する上でも欠かせません。

高齢者における再発予防についても, 危険因子への介入が不可欠である. Framingham 研究においても,また我が国の久山町研究においても, 危険因子が重複するにつれて心血管イベントが指数関数的に増加することが知られている. また多くの大規模臨床試験の成績からは, 高齢者においても高血圧や高指血症の治療が再発予防に有効であることが証明されている. 糖尿病のコントロールや禁煙も含めて, 高齢者 においても危 険因子を包括的に是正することが, 再発予防につながる.

出典:(PDF) 『急性心筋梗塞症高齢者の特徴と治療』日本老年医学会雑誌,42(6)2005[PDF]

このページでは、再発予防のためにやっておきたい対策をさらに詳しく深堀りしていきましょう。

食事による対策

毎日の食事は、心筋梗塞再発予防に欠かせない対策ポイントです。
塩分の低い食事を心がけ、アルコール摂取量は控え、体重を適正に管理できるような食事量を心がけましょう。また、カリウムなどのミネラルを積極的に摂取することもいいとされています。

2009年の高血圧治療ガイドラインでは,食塩目標量を1日6g未満としている76).米国における最近の食餌による高血圧低下研究では野菜果物に富みかつ低脂肪・減塩食(DASH食)が,降圧薬に匹敵するぐらいの血圧低下をもたらすことが示された86).しかし,食塩摂取量は米国民の中年期男女の食塩摂取量が8g程度であるのに対して83),84),我が国では11~12g程度あり83)−85),87),1日6g未満の減塩はかなりの努力と工夫を必要とする.腎障害,糖尿病がない場合,果物野菜からのカリウム摂取は降圧効果に有効である.また,INTERSALTにおいても,他の血圧と関連する要因を考慮に入れても,カリウム摂取量の多い人は血圧が低くなることが認められている88),89).Mg摂取に関しては,我が国でMgの補給により血圧低下効果がみられたという報告がある90).しかし,この補給量は通常の摂取の200%増しであり,食事からの推奨を図るにはさらなる検証が必要である

出典:(PDF) 『心筋梗塞二次予防に関するガイドライン(2011年改定版)』2013更新版[PDF]

生活習慣による対策

心筋梗塞再発予防には、日々の運動習慣も欠かせません、肥満などの動脈硬化リスクを下げる運動は、心筋梗塞症の発症リスクを抑えることにつながります。運動が心筋梗塞の再発予防に効果的であるという研究は数多く、実際に治療の現場でも再発予防としての運動療法や心臓リハビリテーションが行われるようになっています。
もちろん、心筋梗塞発症からの体の回復度合いや麻痺の有無などによってもできる運動は変わります。理学療法士さんや主治医にアドバイスをもらいながら、できる限り適正な運動をするように心がけましょう。

運動療法を中心とする心臓リハビリテーションが,虚血性心疾患の二次予防に有効であることに関しては多くの報告がある.1982年Mayら134)は6つの大規模無作為試験をメタアナリシスし,21~32%の死亡率の減少が期待できることを報告した.さらに Oldridge ら 135),O’Connorら136)は,4,000人以上を対象とする無作為試験のメタアナリシスの結果,運動療法により20~25%の死亡率の低下を認め,運動療法が虚血性心疾患の予後を改善することを明らかにした.

出典:(PDF) 『心筋梗塞二次予防に関するガイドライン(2011年改定版)』2013更新版[PDF]

規則的な運動による虚血性心疾患の予後改善効果の機序として,これらの動脈硬化危険因子の是正の他に交感神経活動の抑制と副交感神経トーヌスの亢進,血管内皮機能の改善,血管炎症反応の抑制等が考えられている.規則的な運動は副交感神経トーヌスを高め,安静時の交感神経活動や心拍数を減少させる.これらは心室細動閾値を低下させ,突然死のリスクを軽減することが予想される151)−153).運動療法は血管内皮機能を改善し,冠灌流を改善することによって心筋虚血を改善することが報告されている154)

出典:(PDF) 『心筋梗塞二次予防に関するガイドライン(2011年改定版)』2013更新版[PDF]

投薬による対策

心筋梗塞の予防には、投薬による対策を講じることもあります。心筋梗塞や脳梗塞のような梗塞は、血管のある部分に血栓などができることで血液の流れが止まってしまう病気です。
そのため、血管を詰まらせる血栓ができやすい方は、血液を薬によってサラサラにすることで梗塞を予防することが可能なのです。
血栓予防薬には、チクロビジン、アスピリン、シロスタゾールなどの抗血小板薬があります。人間の体は通常、怪我をすると出血を止めるために血小板が作用し、血を固める機能を持っています。これらの薬はこの血小板の作用を抑制することで、血が固まらないようにし、血栓を予防します。
ただし、副作用として抗血小板薬には出血しやすくなるなどの作用があります。また、抗血小板薬以外にも血小板以外の血液が固まる要因を抑えることで血栓をできにくくさせるワルファリンなどの抗凝固薬もあります。抗凝固薬は人によって効き方も個人差が大きく、出血しやすくなるなどの副作用も大きいため、より医師の適切な判断が求められる薬と言えるでしょう。

参考:(PDF「分かりやすい病気のはなしシリーズ27 脳梗塞・心筋梗塞を防ぐには」日本臨床内科医会[PDF])

日本人の特徴と心筋梗塞の関係

日本人の心筋梗塞の危険因子は、欧米のそれとほとんど同じです。ただし、冠動脈疾患で命を落とす方の割合(死亡率)はアメリカ人よりも1/3〜1/5ほど福井傾向にあります。加えて、日本人の発症患者さんの中で特に目立つのが高血圧の方、男性の喫煙者の方などがあげられるそうです。特に、冠動脈疾患を引き起こす最大の要因は喫煙で45%、ついで高血圧が34%と喫煙・高血圧が大きなリスクファクターになっていることが伺えます。

心筋梗塞をはじめとする冠動脈疾患は,主に粥状動脈硬化を基盤としているため,主な危険因子として,血清脂質異常(総コレステロール高値,LDLコレステロール高値,HDLコレステロール低値,トリグリセライド高値)17),19),高血圧,糖尿病,肥満等の身体的因子に加え,喫煙,運動,飲酒等の生活習慣があげられ,日本人の心筋梗塞の危険因子は,米国人と共通しているものが多い.
しかしながら,日本人は米国人に比べて,高血圧者および男性の喫煙者の割合が高いが,総コレステロール値,LDLコレステロール値や中性脂肪値が低く,HDLコレステロール値が高く20),糖尿病の有病率が低い19)という特徴がある.日本人の冠動脈疾患死亡率は,米国人の1/3から1/5と低い.日本人の冠動脈疾患は,喫煙および高血圧の寄与が大きいことが特徴で,男性では,冠動脈疾患の発症・死亡の45%が喫煙,34%が高血圧,5%が糖尿病,5%が高コレステロール血症(総コレステロール値260mg/dL以上)によるものと推定され女性では,それぞれ18%,17%,9%,8%と推定されている.

出典:(PDF) 『心筋梗塞二次予防に関するガイドライン(2011年改定版)』2013更新版[PDF]