睡眠の質と心臓病との関連性

不眠症が、脳や心臓への血液供給量の低下の原因となり、心疾患や脳卒中のリスクを上げるかも知れないという研究報告が、広島原爆障害対策協議会の佐々木伸夫医師らによって為されました。

心疾患や脳卒中を引き起こす?不眠症とは?

不眠症の症状は、ただ「夜に眠れない」というだけでなく、多種多様です。実際、仮に夜に眠れたとしても、眠りの質が悪ければ、昼間にぼんやりとしたり、目が霞んだりしてしまうこともあるでしょう。また、寝付きが悪い(入眠障害)、一度は寝られてもまたすぐに起きてしまう、反対にずっと起きられない、なども不眠症の症状です。

そして、広島県在住の男女約1,3000人を対象とした研究によって、心臓発作や冠動脈疾患といった心疾患や、脳梗塞や脳出血などの脳卒中と、不眠症の関連性が示唆されました。

さて、研究対象となった人々の内、心疾患の既往歴があったのは約800人、そして脳卒中に関しては560人でした。また心疾患が認められなかった人はおよそ11,500人でした。尚、心疾患の既往歴と脳卒中の既往歴を同時に持つ人も存在しました。

研究ではさらに、対象者それぞれの睡眠に関するアンケート調査も行い、7段階評価で睡眠の質を自己申告してもらいました。すると、心疾患の既往歴のない人では37%だけであった不眠症経験者の割合が、脳卒中の既往歴のある人では48%、さらに心疾患の既往歴のある人では52%となり、どうやら特に不眠症と心疾患には、何らかの関係性がありそうだと示唆されたのです。 また、心疾患と不眠症の関連性についても詳しく調査した結果、夜間の不十分な睡眠や、それに伴う昼間の疲労が、心臓への血液量の減少と相関性があると認められました。その上、入眠障害に対する睡眠導入剤の常用が、心疾患と脳卒中の両方に関連している可能性も判明したのです。

もちろん、この研究では、不眠症の人が絶対に心疾患や脳卒中になるとは断定できません。心疾患や脳卒中患者が全て不眠症とも限らないでしょう。

しかし、何らかの関連性があるかも知れないというデータは、心疾患などの早期発見や、不眠症の改善などを研究する上で、考慮する価値がありそうです。