血管病の種類とそのメカニズム

日本人の死因で常に上位を占めるのが、心筋梗塞や脳梗塞などの疾患です。どちらも血管疾患が原因で起こる病気で、突然死の約9割が血管疾患のため亡くなっています。
死亡リスクの高い血管疾患とはどんな病気か?どんな人に多いのか?さらに、血管疾患の種類には、どのようなものがあるのかを細かく紹介していきます。

血管病・血管疾患とはどのような病気なのか

血管病(血管疾患)とは、血管内を流れる血液が、動脈硬化や血栓などが原因で、うまく送り出せなくなる病気です。また血管が膨らんだり、破れたりするのも、症状のひとつと言えるでしょう。

血管の詰まりは、動脈硬化や血栓などの血行障害と、血管の異常収縮が2大要因となっています。動脈硬化と血栓は、高脂血症や糖尿病、タバコや心的ストレスなど、生活習慣が原因とわかっていますが、血管の異常収縮については、原因がわかっていません。例えば脳内の血管が膨らみ、破れてしまえば脳出血になってしまいます。いずれも生命を脅かす大病に発展しますから、こわいですね。

血管病の種類(血管が詰まる病気)

ここでは血管疾患が原因で引き起こされる、主な疾患の種類と症状を紹介します。

心筋梗塞(しんきんこうそく)

心臓のまわりを流れる冠状動脈が狭くなったり詰まったりして、心筋に血液がいかなくなった状態を指します。

強い発作の前兆として、心臓を中心とした胸を圧迫されるような、締めつけられるような発作(狭心症発作)や、左肩・左腕・首・心臓の後ろ側・背中にかけて、強く圧迫されるような鈍い痛みを感じる場合もあります。

脳梗塞(のうこうそく)

脳の血管が血栓で詰まってしまい、細胞が壊死してしまう病気です。脳梗塞は発症前に前触れとして、TIA(一過性脳虚血発作/いっかせいのうきょけつほっさ)が起こると言われています。その症状は数分間続き、一旦完全に消失する特徴を持っています。

TIAを発症した人は、5~30%程度の確率で、脳梗塞を発症する可能性があります。痛みが治まったとしても、必ず医師に診てもらうようにしましょう。

そのほかの血管が詰まることで発症する病気

心筋梗塞など、血管が詰まることで発症する病気は、これまで老化現象のひとつと考えられてきました。その発症も中高年が多いのは事実ですが、近年は若年層患者も増えている事実は、注目に値します。

これは日本でも欧米型の肉食中心な食生活が定着してしまったこと、ファストフードなど著しく栄養の偏った食事の一般化によるものと考えられます。また、運動不足やストレスなど、オフィスワーク中心の仕事に発生しやすい要因にも、注意が必要です。

狭心症

心臓の筋肉に酸素や血液を供給している冠動脈は、非常に重要な血管です。こちらが動脈硬化を起こすと、必要とされる血液が不足するようになっていきます。

狭心症を発症すると、日常生活の中で胸部圧迫されるような感覚が生じたり、胸痛に苦しむなどの症状が現れるようになります。

急性下肢動脈閉塞症(きゅうせいどうみゃくへいそくしょう)

動脈の異常により、急激に血行障害が起こる病気です。全身の動脈のどこでも起こり得ますが、特に下肢動脈(かしどうみゃく)に症状が出ます。

凝固した小さな血液が、足の動脈に詰まって閉塞する場合と、動脈硬化が原因で血液の流れが悪くなり、血栓が動脈を閉じてしまうことがほとんどです。

閉塞性動脈硬化症(へいそくせいどうみゃくこうかしょう)

動脈硬化が原因で、主に足の血管が詰まり、痛みで歩行障害などが起きてしまう病気です。「手足が冷える」「手足がしびれる」「歩くと痛みがある」などの症状と、その期間で確認します。

腕や足の血圧の比を測定し、値が1以下の場合、足に動脈硬化が起こっていると診断されます。

頸動脈狭窄症(けいどうみゃくきょうさくしょう)

頸動脈狭窄症とは、頸動脈が動脈硬化で細くなる病気です。頸動脈は、大動脈から流れてきた血液を、脳に流す太めの血管です。動脈硬化が原因で、頸動脈が細くなると、脳への血流が低下したり、詰まったりします。

血液の塊や動脈硬化の破片が脳の頸動脈に詰まってしまうと、脳梗塞を起こしてしまいます。

静脈血栓塞栓症

足の深い所にある静脈に血の塊ができる病気です。その塊の一部は血流に乗って肺に流れ着いてしまいます。こうなると肺の血管を詰まってしまいます。

発症すると、日常生活の中で息苦しさが頻繁に起こるようになります。また、呼吸の際に胸痛が伴うことも…。一番恐ろしいのはショック反応で、失神や突然死を伴うこともあります。

血管が膨らむ病気

胸部大動脈瘤(きょうぶだいどうみゃくりゅう)

心臓~胸から腹部と、身体の中央を通る血管を大動脈と呼びます。この大動脈の中でも、横隔膜より上の部分を胸部大動脈と呼びます。

胸部大動脈の壁が動脈硬化などの原因で膨らんだ状態が、胸部大動脈瘤です。瘤(こぶ)のように膨らみますが、発症すると徐々に拡大。周囲の臓器も押さえこめず、また血圧に耐えきれなくなると破裂し、内出血を起こします。

腹部大動脈瘤

大動脈の中でも、横隔膜より下の部分を腹部大動脈と呼びます。腹部大動脈の壁が動脈硬化などの原因で膨らんだ状態が、腹部大動脈瘤です。

こちらはレントゲンに映らないことが多く、進行中でも自覚症状がないため発見しにくくなっています。胸部大動脈と同じく、発症すると徐々に拡大。周囲の臓器も押さえこめず、また血圧に耐えきれなくなると破裂し、内出血を起こします。

このように、体の中を流れる血液に異常をきたすと、いろいろな病気を引き起こします。突然死につながるリスクもあるので要注意です。

【心筋梗塞や狭心症の原因となる血管の異常収縮に関する特集も見る】

[特集]心筋梗塞のリスクを高める血管攣縮(れんしゅく)とはどういう症状か>>

血管攣縮(れんしゅく)を予防するEPAのはたらきについて>>

狭心症の原因となる血管攣縮が欧米人の3倍も多い理由とは?>>